大森 鮎 オフィシャルサイト Ayu Omori Official Site

帰国を早めて、今月30日にバルセロナをはなれる事にしました。
何度もこうして、広島とバルセロナを行き来していますが、
今回はちょっとした区切りのようなものを感じています。

この10年間は、ここバルセロナという土地に執着して、
こだわって過ごしてきた気がします。
今日はこのタイミングで、
バルセロナ生活のまとめを書いて みようと思います。

そうまで想いを寄せるきっかけは、
バルセロナオリンピックの時、テレビでサグラダファミリアを
見たことです。その時は本当に衝撃的でした。
今から15年も前なんですね。。

そして20歳の時に初めての海外旅行で、一人旅でバルセロナへ。
初めて見た、サグラダファミリアは、やはりとても大きかったです。

ただそれよりも印象的だったのは、街行くスペイン人にとっては、
このすばらしい建造物もただの日常風景にしかすぎないし、
サグラダファミリアにしても、とても特別な建物ではあるけど、
街並みの一部として馴染んでいて、ごく自然に建っている、ということ。
ここに住んで、ここの物を食べて、
はじめて生まれる作品なんだと思いました。
そこから、私もここで『生活し、制作してみたい』と
思うようになっていきます。

その後も、好きになるアーティストや、ミュージシャンが
何かしらバルセロナと関連があるという、偶然の一致が重なり、
運命のようなものさえ感じるようになりました。

『バルセロナで個展をする』とか
『バルセロナに住んで、アトリエを持つ』とか、そういうことが目標で、
それに全勢力を使って進んできました。
ここで知らなかった事を知って、初めての事をたくさん経験して、
たくさんの人に出会い、楽しい事も、時には辛いこともありましたが、
とても貴重な日々だったと感じます。
おそらくこれからの自分の基盤になっていくだろう経験でした。

そして今、目標だったことが現実になり、分かったことは、
ごくシンプルで、全ての事は自分の中にあるということでした。
まだまだ分かっていない事も沢山ありますが、
以前とは違う手応えのようなものを感じています。
これに辿り着くまでに、
本当に沢山の人に支えて頂いた事に心から感謝します。

この土地も一つの通過点だったのだと、実感して
これから始まる、帰国後の生活も、ワクワクする今日この頃です。